うどんへのこだわり
初代から現在の5代目に至るまで、これだけは守れと言い伝えられていることは「決して大量生産するな」。麺が主人の手を離れてしまった時、丹精込めて作られるべき「花山うどん」ではなくなるからです。この精神は全ての製品作りの礎となっています。うどんは、その土地の文化や慣習、特産物と深く関わりながら育まれた郷土食です。そのため、地方によって様々な個性や特徴があります。花山うどんが理想とする麺は、柔らかいのにコシがある麺です。誰もが簡単に作れるコシの硬いうどんではなく、群馬ならではの風土を生かしたうどん作りに代々取り組んでいます。群馬県産の小麦はもちもちとした食感が特徴です。
小麦も年々品種改良が進んでいます。日本全国と海外の小麦を何年にも渡って研究してきましたが、やはり先代から受け継がれてきた昔ながらの品種が一番美味しく感じられます。品種改良された小麦は製麺しやすく調整されていますが、扱いにくい小麦が、実は美味しいということもあります。
原材料へのこだわり
食の基本はその土地で採れた素材を使うことです。それが最も美味しく仕上げる秘訣でもあります。フランスパンは最初からあの硬い食感を意識して作られたわけではありません。フランスで採れた小麦をパンにした結果、あの食感が生まれました。中華麺も同様で、中国で採れた小麦をある村の山から湧き出る水で製麺したところ、独自の食感を持つ中華麺ができました。アルカリ性物質を含んだ水と小麦が融合して、初めて中華麺が誕生したのです。
日本のうどんも同じです。日本で採れた小麦を軟水である日本の水で作ると、もっちりしてコシのある最高の麺になります。花山うどんのポリシーは至ってシンプルです。「余計なことはしない。その土地の素材を活かすこと」。花山うどんは群馬県産小麦を中心に国産素材にこだわり、お客様に本物の味をご提供しています。
製造法へのこだわり
乾麺へのこだわり
かつて、麺の乾燥法といえば屋外での天日干しが主流でした。天日干しの麺の美味しさの秘訣は、ゆっくりと熟成させながら干し上げていくことです。乾燥させては生麺に戻すといった工程を繰り返しながら、麺にストレスを与えずにゆっくり乾燥させることで、麺本来のコシを引き出すことができます。しかし、この作業は天候に左右されるため、安定した品質を保つのが難しいという現状がありました。そこで四代目橋田三造が伝統的な製麺論に科学のメスを入れ、試行錯誤を繰り返すこと20年、独自に考案した「バニッシュループ製法」により、これまで伝承してきた乾燥方法を室内で再現することに成功しました。それ以降、安定した品質の完熟麺をお客様にご提供できるようになりました。
手打ち生うどんへのこだわり
焦らず、ゆっくり丁寧に、昨日よりもうまいうどんをつくること。それが美味しいうどんを作る秘訣です。
花山手打ち生うどんの製法は、熟練の技術が要求されます。まずは、小麦粉、塩、水を混ぜ合わせ、塊にします。その塊を丈夫なポリ袋に入れ、足踏みしながら捏ねていきます。300回以上、繰り返し踏むことで生地が滑らかになり、コシが生まれます。赤ちゃんの肌のようにつるつるになったら、丸めて一晩熟成させます。翌日、麺棒に体重をかけ、麺を鍛えては休ませるといった作業を繰り返しながら、少しずつていねいに均一の厚さに伸ばしていきます。力が要ると同時に繊細さが要求される工程でもあります。やがて、納得のいく厚さになったら、均一幅に切り揃え、お客様にお届けします。