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2015/08/15
たぬきのバーチャル工場見学 乾麺編4
~ 前回のあらすじ ~ 花山うどんの足次工場にやって来たたぬきは
「いろいろな太さと幅の麺があること」「小麦を育てる農家さんも、小麦を粉にする製粉会社さんも、うどんを作るうどん屋さんも、みんな頑張っていること」を教えてもらいました。
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たぬき:わあー、長いうどんがたくさんあるー♪
四代目:みんなでお腹いっぱい食べられますよ。
四代目:ここが乾燥室と呼ばれる部屋です。
昔は「天日干し」といって外に干して乾かしていたのですが、天日干しは天候に左右されるので、安定した麺を作ることが難しいのです。変なお天気だったからあまりおいしく作れませんでした」「雨が降っているからうどんが作れません」と言ったら、お客様をがっかりさせてしまいますよね。
たぬき:がっかりしちゃいます!
四代目:そこで「天日干しはどういう仕組みで麺がかわくのか、どういう仕組みでおいしくなるのか」を20年かけて研究して、天日干しの環境を再現できる部屋をつくりました。そして「とてもおいしくできあがったとき」と同じ状態になるよう、時間、温度、湿度を調整して完成させます。
たぬき:他のうどん屋さんとは違う作り方なのですか?
四代目:多くのうどん屋さんは、熱い風を麺に当てて一気に乾燥させる方法で作っています。
花山うどんでは、乾燥させる・生麺に戻す・乾燥させる・生麺に戻す・乾燥させる、、、と何度も繰り返す特殊な乾燥工程で、時間をかけて少しずつ乾燥させます。他のうどん屋さんはやっていない独特の製法ですよ。
この作り方には「バニッシュループ製法」という名前を付けました。
たぬき:どうして、ふしぎな作り方をするのですか?
四代目:おいしくなるからです。
ゆっくり乾燥させると、麺にストレスがかからず、しっかり熟成して「粘り」「コシ」を引き出すことができます。
たぬき:「ばにっしゅるーぷ」はどんな意味ですか?
四代目:工程を幾度も繰り返しながらおいしさを洗練させていく、という意味を込めました。
たぬき:三代目さんの作り方とは違うのですか?
四代目:初代から三代目まで受け継がれてきた作り方をいつでも再現できるようにしたのがバニッシュループ製法です。
三代目の作り方はしっかり仕込まれましたが、「この作り方とまったく同じ作り方で作り続けなさい」とは言われませんでしたし、私も五代目にそう言いません。伝統の作り方と味の基本をしっかりと守りながら、時代に合わせた工夫をしてもらいたいと思います。
時代によりお客様の好みは変わります。
昔は外国産が高級品だと考えられていましたが、今では国産の品質が見直されています。
昭和10年代後半から20年代は戦中戦後で物がなく、小麦も政府からの配給制となり、多くのうどん屋が廃業の危機に立たされました。二代目と三代目は、もち米の粉=白玉粉を使ったうどんを開発することで廃業の危機を乗り越えたそうです。当時の常識や技術では想像もつかないアイディアだったそうで、「驚くほどツルツルしている」とお客様の評判も上々だったと聞いています。
たぬき:作り方が変わっても良いのですか?
四代目:初代からずっと、これだけは守れと言われてきた事はただ一つ【決して大量生産するな】ということです。
大量生産しないということは、「自分たちの目の届く範囲で作り、しっかり管理しなさい」「お客様がおいしいと言ってくれるように、手間をかけて・心を込めて・一生懸命工夫して作りなさい」ということです。
この心を五代目と社員に教えることが、私が三代目から引き継いだ役目です。
たぬき:製麺ひとすじ50年、四代目・橋田三造さんでしたー。
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